
総社の前方後円墳とは?歴史・特徴・アクセス情報をわかりやすく解説【岡山県の古墳スポット】
岡山県総社市には、日本の古代史を体感できる貴重な遺産「前方後円墳」が数多く存在します。中でも全国屈指の規模を誇る作山古墳をはじめ、歴史ファンから観光客まで幅広く注目されているスポットが点在しています。
本記事では、「前方後円墳とは何か?」という基礎知識から、総社市にある代表的な古墳の特徴や見どころ、アクセス方法、周辺観光情報までを詳しく解説します。これから総社を訪れたいと考えている方や、古墳時代の歴史に興味がある方にとって、参考になる情報を網羅しています。
総社市とはどんな場所?
岡山県総社市の基本情報
総社市(そうじゃし)は、岡山県南西部に位置する自然豊かなまちです。岡山市と倉敷市の間にあり、アクセスも良好なことから、近年は移住先や観光地として注目を集めています。市名の「総社」は、かつて備中国の各神社を合祀した「備中国総社宮」に由来しており、古くから歴史的・文化的に重要な地域とされてきました。
市内には豊かな自然環境とともに、古墳や寺院、城跡など歴史的な見どころが点在しています。なかでも古墳時代の遺産は多く、前方後円墳が複数存在することで知られています。
歴史好きに人気の理由
総社市が歴史ファンにとって魅力的な理由は、なんといってもその古墳密集地帯としての顔にあります。特に4世紀から6世紀にかけて築造された前方後円墳が今なお良好な状態で残っており、当時の豪族たちの勢力や文化をうかがい知ることができます。
さらに、発掘調査や地元博物館での展示を通して、古墳時代の生活様式や埋葬文化を学ぶことができるのも大きな魅力です。観光地としてだけでなく、教育・研究のフィールドとしても注目されており、全国から学芸員や歴史愛好家が訪れる地となっています。
前方後円墳とは何か?
前方後円墳の形と名称の由来
前方後円墳(ぜんぽうこうえんふん)は、古墳時代(3世紀中頃〜7世紀末)に築かれた、日本特有の墓の形状を指します。その名の通り、墳丘の形が「前方(四角形)」と「後円(円形)」から構成されており、上空から見ると鍵穴のような形をしているのが特徴です。
この形状は主に有力な豪族や王族クラスの被葬者のために造られたと考えられており、当時の社会的地位や権力の象徴でもありました。前方部は儀式や祭祀の場として使用され、後円部には石室や木棺などが納められていました。
前方後円墳という名称は近代の考古学的分類によってつけられたもので、当時の人々がどのように呼んでいたかは不明ですが、その形状は日本各地で共通して見られます。
全国の中での重要性と役割
前方後円墳は、古墳時代を象徴する存在であり、日本国内に約5,000基以上が確認されています。その中でも大王(おおきみ=後の天皇)クラスの墳墓とされる巨大古墳群は、大阪府の堺市にある「大仙古墳(仁徳天皇陵)」を筆頭に、全国に点在しています。
こうした古墳の築造は、地域ごとの政治的勢力を示すものとされ、特に大規模な前方後円墳はヤマト政権との関係性や、その地の支配者の影響力を読み解く重要な手がかりとなっています。
岡山県総社市にも、4世紀から6世紀にかけて築造された大規模な前方後円墳が複数現存しており、当時の備中国(現在の岡山県西部)が古代日本の中でも重要な地域だったことを物語っています。

総社にある主な前方後円墳の紹介
作山古墳(つくりやまこふん)の概要
作山古墳(つくりやまこふん)は、総社市三須に位置する岡山県最大級の前方後円墳です。全長は約286メートルにおよび、全国でも第10位の規模を誇ります。その巨大さから「吉備の大王墓」とも呼ばれ、4世紀後半に築かれたと推定されています。
墳丘は三段に築かれており、後円部と前方部にそれぞれ陪塚(ばいちょう/付属の小古墳)も確認されています。作山古墳は墳丘への立ち入りが可能で、散策路や展望台も整備されており、歴史を感じながらウォーキングを楽しむこともできます。
また、古墳の周辺には古代の祭祀に使われたとされる遺物が数多く出土しており、総社市立歴史民俗資料館で一部を見学できます。
浦間茶臼山古墳(うらまちゃうすやまこふん)の特徴
浦間茶臼山古墳は、総社市と岡山市の市境にある前方後円墳で、全長約138メートル。5世紀前半に築造されたと考えられており、作山古墳に次ぐ規模の古墳です。
特徴的なのは、墳丘の保存状態が非常に良く、形状がはっきりと確認できる点です。また、埴輪(はにわ)や円筒土器、鉄器などの副葬品も出土しており、当時の文化や生活を知るうえで非常に貴重な資料となっています。
この古墳は現在、浦間茶臼山古墳公園として整備されており、案内板や駐車場も完備。地元の学校の歴史学習にも活用されており、地域に根付いた文化遺産として親しまれています。
その他の注目すべき前方後円墳
総社市内には、作山古墳や浦間茶臼山古墳のほかにも、複数の中小規模の前方後円墳が点在しています。たとえば、
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赤浜天神山古墳(あかはまてんじんやまこふん)
全長約92メートル、6世紀ごろの築造と考えられ、周辺では祭祀に関連する遺物が発見されています。 -
南溝手古墳(みなみみぞてこふん)
比較的小規模ながら、内部構造が良好に残っており、学術的な価値が高い古墳のひとつです。
これらの古墳は、派手な観光地化はされていませんが、地元住民によって丁寧に保存・管理されており、静かな環境でじっくりと歴史を感じることができます。
前方後円墳の見どころと楽しみ方
季節ごとのおすすめポイント
総社市にある前方後円墳は、四季折々の自然と調和した美しい風景も魅力の一つです。特におすすめなのは以下の季節です:
- 春(3〜5月):作山古墳周辺では桜が見頃を迎え、古墳のシルエットとピンク色の花々が織りなす景色は圧巻。ウォーキングコースにも最適で、地元の人々による「古墳桜まつり」などの小イベントも行われます。
- 秋(10〜11月):紅葉が美しく色づき、落ち着いた雰囲気の中で歴史探索が楽しめます。写真撮影にもぴったりのシーズンです。
- 夏や冬は観光客が少なめのため、ゆったりと古墳を堪能したい方にはおすすめ。特に夏は緑が濃く、墳丘の立体感が際立ちます。
これらの季節を活かして訪問計画を立てることで、より深く前方後円墳の魅力を体感できます。
歴史ガイドや現地イベント
総社市では、前方後円墳の魅力を広く伝えるために現地ガイドツアーや文化イベントも開催されています。特に作山古墳では、地元ボランティアガイドによる歴史解説ツアーが定期的に行われており、素人では見落としがちなポイントや古墳の背景を丁寧に説明してくれます。
また、市内の歴史民俗資料館や観光案内所では、古墳の模型や出土品の展示もあり、訪問前に基礎知識を得ることができます。
イベントとしては、「こふんウォーク」や「古墳スタンプラリー」など、家族連れでも楽しめる企画が開催されることもあり、地域全体で古墳の保全と活用が進められています。
こうしたアクティビティに参加することで、ただ見るだけではなく、体験型の学びとして古墳観光を楽しむことができます。
アクセス・周辺情報
総社市へのアクセス方法
総社市は岡山県の中央部に位置し、公共交通・車どちらでもアクセスしやすい立地です。
電車でのアクセス
- JR岡山駅から総社駅まで:JR伯備線または吉備線(桃太郎線)を利用し、約40〜50分で到着します。
- JR倉敷駅から総社駅まで:伯備線で約15分と非常に便利です。
車でのアクセス
- 岡山自動車道「岡山総社IC」から市内中心部までは約10分。
- 県内各地や隣接県からもアクセスが良好で、観光の拠点としても使いやすい立地です。
- 古墳周辺には無料駐車場が整備されている場所も多く、車での訪問にも適しています。
古墳巡りのモデルコース
古墳好きな方や歴史探索が目的の旅行者には、以下のような半日〜1日コースがおすすめです。
モデルコース(半日コース)
- 午前10:00 総社駅着・観光案内所で地図を入手
- 10:30 作山古墳 散策(徒歩またはレンタサイクル)
- 11:30 作山古墳周辺の資料館で古墳出土品を見学
- 12:30 市内のカフェまたはレストランでランチ
モデルコース(1日コース)
- 13:30 浦間茶臼山古墳へ移動・見学(車またはバス)
- 15:00 赤浜天神山古墳や南溝手古墳をめぐる
- 16:30 総社市街地に戻り、地元のお土産を購入
- 17:00 総社駅から帰路へ
時間に余裕があれば、近隣の神社仏閣や温泉地などを組み合わせるのもおすすめです。
近隣の観光スポット・グルメ情報
総社市は古墳だけでなく、周辺にも見どころやグルメスポットが豊富です。
観光スポット
- 備中国分寺:五重塔がシンボルの歴史ある寺院。古墳時代から続く宗教の流れを感じられます。
- 鬼ノ城(きのじょう)跡:古代山城の遺構。山頂からの眺望が抜群でハイキングにも最適。
グルメ
- 総社ラーメン:地元のソウルフード。豚骨醤油系のスープにこだわった味わいが人気。
- マスカットや白桃などのフルーツ直売所:旬の果物をその場で楽しめる農園や直売所が点在。
こうした周辺情報と組み合わせて訪問すれば、より充実した歴史散策が体験できます。
まとめ
総社市は、作山古墳や浦間茶臼山古墳をはじめとする前方後円墳が数多く残る、歴史ロマンあふれる地域です。日本古来の墓制文化や古墳時代の権力構造を肌で感じられる貴重なスポットとして、歴史ファンはもちろん、観光や学習目的にも最適です。整備された散策路やガイドツアー、資料館なども充実しており、初めての方でも安心して楽しめます。アクセスの良さや周辺の観光資源も魅力の一つ。四季折々の風景の中で、古代の記憶に触れる旅を、ぜひ総社で体験してみてはいかがでしょうか。